[超社内向け] Youtubeのセッション動画をClaude MCPを使ってブログ化する方法

[超社内向け] Youtubeのセッション動画をClaude MCPを使ってブログ化する方法

Clock Icon2024.12.04

こんにちは、せーのです。

さあ、re:Invent 2024ももうそろそろ折り返しを迎え、クラメソチームもブログの手が止まらなくなっていることかと思います。
そんな忙しいみなさんに少しでも作業が楽になれば、という不純な 純粋な思いからこのブログを書いています。

みんなで、幸せになろうよ。

re:Inventブログ執筆の新しいアプローチ

概要

re:Inventのブログ執筆は、多くの開発者やエンジニアにとって重要な任務となっています。従来、re:Inventのブログ記事は主に「新サービスの速報」と「セッションリポート」の2つのカテゴリーに分類されてきました。

そんな中、現地組の一日の動きとしては

朝: キーノートでの新サービス発表を即座に記事化
昼: セッションに参加して内容をまとめる。英語な苦手な人は録画や録音を取って書き起こしツールで書き起こして翻訳、またはOtterなどの書き起こしツールを起動してリアルタイムで書き起こしする
夜: 昼に聞いたセッションの内容をレポートをまとめてブログ化する

これが定番の手法でした。しかし、最近では状況が変化しています。AWSは驚くべき速さでセッション動画を YouTubeにアップロード しているのです。

この変化は、私たちのブログ執筆アプローチに新しい可能性をもたらします。YouTubeの動画を視聴することで、実際のセッションに参加していなくてもクオリティの高いブログ記事を書くことができるようになりました。 さらに、これにより「公式が動画を出す」という安心感で昼間のセッションにより集中して参加したり、動画になりにくいワークショップ中心に参加する、といったことも可能になります。

今回は、生成AIを活用して YouTube動画の内容を効率的にまとめる方法をご紹介します。プロンプトの工夫次第で、まとめ方を「ブログ調」に調整することも可能ですので、色々ためしてみてはいかがでしょうか。

軽く解説

今回はClaude MCPという最近出たClaudeの機能を使います。

Claude MCPとは

Claude MCPは、Claude(生成AI)に新しい機能を追加できる拡張機能システムです。MCPは「Message Control Protocol」の略で、Claudeとの対話に特別な機能を組み込むことができます。
例えば今回使用する「mcp-youtube」は、YouTubeの動画内容をClaudeが理解できるようにする機能を追加します。これにより、動画の内容を要約したり、特定の部分について詳しく質問したりすることが可能になります。
MCPを使用するには:

  • Claude Proのサブスクリプションが必要です
  • 使いたい機能に応じて、対応するMCPをインストールします
  • インストールしたMCPの機能を使って、Claudeとより高度なやり取りができます

今回のブログ執筆支援では、YouTubeの動画内容を自動的に理解し要約する機能を活用します。これによって、セッションの内容を効率的にブログ記事化することが可能になります。

MCPについて詳しくはこちらを参考にしてください。

手順

環境準備

必要なツールとライブラリは以下の通りです:

  • Claude Desktop on mac
  • Claude MCP(Claude Proのサブスクリプションが必要)
  • mcp-youtube(YouTubeコンテンツ読み込み用MCP)
  • mcp-installer(MCPインストール用MCP)

Homebrewを使用して以下のライブラリをインストールします:

  • node.js
  • python
  • npx
  • uv
  • yt-dlp

私の環境ではnodeとpython、npxは入っているので残りを入れてしまいます。

brew update
brew install uv yt-dlp

セットアップ手順

  1. Claude Desktopの設定ファイル(claude_desktop_config.json)に以下のJSONを追加します:
"mcpServers": {
    "mcp-installer": {
      "command": "npx",
      "args": [
        "@anaisbetts/mcp-installer"
      ]
    }
}

具体的には、ClaudeのDesktopから[claude] - [settings]を開いて[developer]というタブを開くと、このような画面が出てきます。

claudemcp1

ここで[Edit Config]ボタンをクリックすると
~/Library/Application Support/Claude/
の下に
claude_desktop_config.json
というファイルができます。
ここにjson形式でMCPを書き込むことでMCPが使えるようになります。

  1. アプリケーションを再起動します。

  2. Claudeに対して以下のプロンプトを実行し、mcp-youtubeをインストールします:

Hey Claude, install the MCP server named @anaisbetts/mcp-youtube

mcp-installerが効いていれば途中でこのようなポップアップが出現し、mcp-youtubeをインストールしてくれます。

claudemcp2

  1. 再度アプリケーションを再起動します。これで準備OKです。ちゃんとMCP、入っていますね!

claudemcp3

実践:YouTube動画の要約

今回は我がクラメソの代表、横田社長と英語ペラペラのたけだのさんが登壇した記念すべきセッションがYoutubeに上がっているので、そちらを使いたいと思います。

https://www.youtube.com/watch?v=FGGMOonk-aI

以下のような形でプロンプトを投げかけることで、YouTube動画の内容を日本語で要約することができます。

下記のYoutube動画の内容を日本語で要約してください。
https://www.youtube.com/watch?v=FGGMOonk-aI

すると、Claudeはこのように返してくれました。

claudemcp4

まず、動画の内容を確認するためにYouTubeの字幕をダウンロードしてみましょう。

動画の内容を要約いたします。これは AWS re:Invent 2024でのプレゼンテーションで、日本のクラウド市場についての洞察を共有するセッションです。

主なポイントは以下の通りです:

  1. 発表者紹介
  • クラスメソッド株式会社のCEO、横田聡氏が発表
  • クラスメソッドは2004年にシステムインテグレーターとして創業
  • 現在は4000の企業顧客、約1000人の従業員を持つ
  1. 日本市場の特徴
  • GDPで世界第5位、グローバルGDPの3.6%を占める
  • 都市化率とインターネット普及率が米国よりも高い
  • 単一言語(日本語)による市場の一貫性
  • 人口が密集した地理的特性
  • 独自の商慣習と文化
  1. 日本市場での課題
  • 人材不足

    • 労働法による雇用保護が強く、解雇が困難
    • システムインテグレーターが人材バッファーとして機能
  • 情報過多

    • 多すぎるSaaSソリューションによる選択の困難さ
    • 技術選択の最適化が必要
  • 意思決定者の技術知識不足

    • 非技術系の意思決定者による技術採用
    • 承認プロセスが長い
  • 保守的な性格と正誤思考

    • 誰も最初に採用したくない傾向
    • 大企業ほど失敗を恐れる
  • 商習慣の違い

    • 請求書決済が一般的(クレジットカード決済は一般的でない)
    • 為替変動のリスク
    • 4月始まりの会計年度
  1. 成功のための提言
  • わかりやすいメタファーを使用した技術説明
  • 対面でのコミュニケーションの重要性
  • コミュニティの活用
  • 適切な価格設定
  • 市場に合わせた請求システムの構築
  1. まとめ
  • 日本市場は独自の特徴と課題を持つが、大きな可能性を秘めている
  • 文化的な理解と適切なアプローチが成功の鍵
  • コミュニティ(縁:EN)との連携が重要

このプレゼンテーションは、特にSaaS企業が日本市場に参入する際の重要な洞察を提供しています。

きちんと要約されているようですね!

質問してみた

では動画の中身について質問してみましょう。

クラスメソッドはブログがとても有名ですが、動画の中ではブログについてはどのような特徴があると言っていますか?

claudemcp5

動画の中でクラスメソッドのテクニカルブログ(Developers.IO)について、以下のような特徴が紹介されています:

  1. 規模と影響力
  • 月間ページビュー:320万
  • ユニークユーザー:100万人
  • 投稿記事数:40,000以上
  1. コンテンツの特徴
  • 実践的な技術記事を提供
  • 日本のエンジニアにとって主要な情報源の一つとなっている
  • AWS re:Inventなどのイベント時には多くの社員が積極的に記事を投稿
  1. コミュニティとしての役割
  • 技術ユーザーにとってのレシピ(手順書)として機能
  • 新しい技術の試用方法の共有
  • テクノロジーの組み合わせ方についての情報提供
  1. 技術コミュニティへの貢献
  • 技術者同士が互いに学び合う場として機能
  • 情報交換の重要なプラットフォーム
  • 開発者コミュニティの強化に貢献

このブログは、単なる情報発信の場というだけでなく、日本の技術コミュニティを支える重要なインフラストラクチャーとして機能していることが強調されています。

該当の部分を見てみると、、、

claudemcp6

確かに言っています!

あとはプロンプトの書き方でブログの形に構成して埋めていく、わからない部分は「日本語で」質問すれば日本語で返ってきます。これは理解も発信も捗りますね!

まとめ

この方法を活用することで、以下のメリットが得られます:

  • 時間を効率的に使用できる
  • 実際のセッションにより集中できる
  • 後からじっくりと内容を確認できる
  • 生成AIの支援により、より質の高い記事を作成できる

re:Inventのような大規模カンファレンスのカバレッジにおいて、このアプローチは特に有効です。ぜひ皆さんも試してみてください。より効率的で質の高いブログ執筆をサポートしてくれるはずです。

最終ゴール

来年くらいまでには作っておきたいゴールがあります。それは「セッションレポートの自動化」です。
今回のre:InventでもいくつかのAI/MLセッションで出てきていたキーワードとして「GenAIとClassic MLの使い分け」というものがあります。例えばGenAIを使ってRAGを作る際には、システムプロンプトが細かく調整できるとその精度がぐっと上がったりするのですが、質問の内容によってそれをカテゴリ分けする機械学習モデルを作っておき、そのカテゴリごとにシステムプロンプトを書き分け、生成AIによる解答がより専門的になる、といった組み合わせがこれからの主流になりつつあります。

ということは生成AIをFine-tuningしたり、機械学習モデルで強化学習させたりして「発表内容を与えればセッションレポートが書ける」というようなモデルを作り、このMCPや書き起こしツールと組み合わせて、半自動的にセッションレポートが書けるようになると、より芯に迫った、読者の方にも有用なブログがたくさん書けるのではないか、なんて思っています。ということで来年、お楽しみに!

謝辞

このブログを執筆するにあたり、下記ポストを参考にさせていただきました。ありがとうございました。

https://x.com/tetumemo/status/1863648508395524443

https://x.com/riku_ai_chatgpt/status/1863551571780665406

参考リンク

https://github.com/anaisbetts/mcp-youtube/tree/main?tab=readme-ov-file
https://github.com/anaisbetts/mcp-installer

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